
今日も少しだけ1QAQ1した。
重い指先を動かし、絞り出すようにしてまた記事を追加した。
どうなんだろう?いけるのか?今回のサイトで?
暗い部屋の中、ノートパソコンの青白い光だけが机の上を照らしている。
画面には、数ヶ月のあいだ寝る間も惜しんで構築し続けたWebサイトのダッシュボードが表示されていた。
デザインは極限まで洗練させ、UIや導線も何度も見直し、SEOの基本も徹底して叩き込んだはずだった。
公開ボタンを押したあの夜、僕の胸には確かに、今度こそはという熱い確信があったのだ。
これまでに立ち上げては静かに閉鎖していった、幾つもの失敗プロジェクトの記憶。
自信満々でリリースしたのに誰にも見られず、虚空に向かって叫び続けているようなあの孤独感。
時間と情熱だけを吸い取られていく日々の徒労感。
それらを今度こそ振り払えるのだと信じて、覚悟を決めて放った渾身の矢だった。
だが、現実はどこまでも無慈悲だった。
ブラウザのタブに固定されたアクセス解析の画面を開く。
心臓のあたりが冷たく重くなるのを自覚しながら、震える手でリロードボタンを押す。
「0」
青いグラフの線は、まるで心停止を告げる心電図のように、底辺にへばりついたまま水平に伸びている。
微動だにしない。日別の推移に切り替えても、並んでいるのは「1」や「2」といった、自分自身のアクセスを除外すれば限りなくゼロに近い虚無の数字だけだ。
公開直後に幻のように見えたアクセスは、ただのボットの巡回か、あるいは僕の焦りが見せた見間違いだったのだろう。
堰を切ったように数字が跳ね上がる奇跡なんて、最初からどこにも起きていなかった。
世界は驚くほど静かで、僕がどれほどの情熱を注ぎ込もうが、この広大なインターネットの片隅で僕が溺れかけていようが、誰も気付きさえしない。
「……何が足りないんだ」
乾いた喉から、掠れた声が漏れ落ちる。
ターゲットの分析も、提供する価値の設計も、これまでとは根本的に違うはずだった。
妥協せず、細部まで徹底的に作り込んだ。
それでも結果は、過去の失敗作たちと何も変わらない。
書いた記事は読まれることなくデジタルのゴミ捨て場へと沈んでいき、費やした膨大な時間と労力だけが、僕の精神をじわじわとすり減らしていく。
もう、何が正解なのか分からない。
自分のセンスも、積み重ねてきた努力も、すべてが全否定されているような錯覚に陥る。
こんなことを続けて一体何になるのだろう。
誰にも届かない言葉をキーボードで打ち込み続ける作業は、まるで暗闇の海に小石を投げ込み続けるようなもので、波紋すら見えないまま手応えだけが消えていく。
心が、音を立てて折れそうだった。
すべてを放り出して、PCの蓋を力任せに閉じ、ベッドに潜り込んでしまいたい衝動が喉元までせり上がってくる。
失敗を認めて諦めてしまえば、この胃を締め付けるようなプレッシャーからも、ゼロを見続ける絶望からも解放されるはずだ。
けれど、閉じかけたノートパソコンの画面を見つめたまま、僕は深く、重い息を吐き出した。
暗い部屋の中、ファンがかすかに回る音だけが響いている。
指先はまだ冷たく強張っているけれど、それでも僕は、静まり返ったエディタの画面をもう一度だけ引き戻した。
惨めでも、格好悪くても、この無反応の暗闇に立ち向かう術を、僕はまだ1QAQ1する以外に知らないのだ。







